5月21日。
今日5月20日
テニス部、部室
メンバー
柳生、丸井、赤也、仁王、ジャッカル、マネージャー
柳生「では意見のある方は?」
赤也「柳生先輩、これって今日中に決めなきゃダメなんすか?」
柳生「善は急げと言いますからね。と言う事で、今日中に決めてしまいましょう」
マネ「はいはーい!じゃあ、部活帰りにマックとかってどうかな?」
丸井「ナイスマネージャー!俺もそれに賛成〜!」
仁王「ダメじゃ。あいつの趣味じゃないけぇ」
丸井「じゃあ甘味処!うまそ〜」
赤也「ブン太先輩は食えるとこならどこでもいいって感じっすよね!」
ジャッカル「なにか使えるものをプレゼントするのはどーだ?」
柳生「ありきたりですが、それが一番でしょう」
仁王「じゃあ今日中にセレクトしないかんのぅ」
ジャッカル「何が一番喜ぶかだよな?」
なにやらプレゼントについてみんなで意見を出し合っている様子
そこへ顧問とのミーティングを終えた真田がやってきた
真田「こら!お前達、練習時間はとっくに始まっているぞ!何をこんな所でさぼっている!」
赤也「ちっ・・・なんだ、使えない副部長スか・・・」
丸井「赤也、いくら本当の事でも本人の前で言ったらへこむだろぃ」
柳生「そうですよ切原くん。いくら本当の事でもここはやんわりオブラートに包んだ物言いをしなくては」
ジャッカル「お前等・・・いくら本当の事でも・・・。俺が後でヒドイ目に遭うだろうが・・・行こうぜ」
「「はいはーい」」
ブツブツ言いながら練習に向かうメンバー達
入れ違いに真田と一緒にミーティングに参加していた柳が資料を抱えて入ってきた
柳「弦一郎、そんな顔をするな、うっとおしい」
真田「れ、蓮二・・・。最近あやつら口が悪いし俺に対する態度もひどすぎると思わんか?」
柳「いや、思わないが?」
真田「(T_T)」
そう言うと柳も練習に向かう準備を始めた
そこへ部誌を持ったマネージャーが戻ってきた
マネ「あのさ、真田」
真田「うむ。彼女なら募集中だ」
マネ「シネ!!」
マネージャーは頬を染めた真田を蹴り飛ばし、更に持っていた部誌を真田に投げつけドアが壊れるのではないかという勢いで出て行ってしまった
柳「お前は人気があってうらやましいな、弦一郎」
真田「今のどこが人気があるというのだ!俺は何もしていないのに・・・。
そうか、蓮二がいるから照れていたのだな!」
柳「(どこまでも楽天的な奴だ)・・・あのボードを見てみろ」
真田「なんだというのだ?」
《誕生日に何をしたら喜ばれるか》
柳「あいつらなりに色々と考えていたみたいだぞ。マック、甘味処、使えるもの・・・。
そういえば弦一郎の誕生日は明日だったか」
真田「あ、あいつら・・・。俺は勘違いをしていたようだな!!
フムそうだな・・・。新しい帽子などいいかもいれんな。蓮二、俺は良い仲間達を持ったぞ!」
柳「よかったな。では俺達も練習に戻るぞ」
真田「よし!では行こう蓮ちゃん」
柳は開眼した
柳「二度とその名で呼ぶな」
真田「スイマセン…」
皆に遅れること数分
真田と柳が練習に合流した
真田「やぁ皆のもの、待たせてしまったかな?」
仁王「うわ、真田が壊れちょる」
真田「今日は特別練習をやっちゃうぞ☆みんな大好きな試合形式だ。ん?
あぁっ!なんたる事だ!大事な大事な帽子に穴が空いているぞ!
穴が〜!帽子がぁ〜!!」
(=-ω-)チラリ
赤也「うっわ〜こっち見たッスよ…」
ジャッカル「真田、先に言っておくが、穴空けたの俺たちじゃないぜ」
真田「いやわかっておる。我が相棒諸君」
丸井「うわきもっ!鳥肌たったぜ!見てみろよこれ・・・」
マネ「はいはーい、アホは放っておいて特別メニューを始めますよ〜。
名前を呼ばれた人はコートに入ってくださいね〜。じゃ柳、メンバー発表よろしくね」
柳「丸井とジャッカル第1コート。柳生、仁王は第2コート。赤也は俺と第3コートだ」
赤也「うぃーす」
真田「ところで蓮二くん。俺は誰とやるのだ?」
柳「あ、忘れていたな。弦一郎は…………………見学でもしてろ」
真田「なぜだ!?俺は最もプロに近い男と言われ…」
柳「始めるぞ。各自コートに入れ」
「「はーい」」
試合形式での練習に熱が入り皆がいい汗をかいている横で真田はベンチに座り言われた通り見学をしていた
5月21日 晴天
真田「やぁ我が愉快な仲間達、今日も絶好のテニス日和だな。こんなに天気がいいと、まるで太陽も祝福してくれているようだな?」
柳生「真田くんは何を言ってるんでしょう?」
仁王「さぁ?春は変なのが出るからのぅ」
丸井「ほっとけよ」
真田(・・・ウム、皆サプライズをばれないように必死なのだな・・・。
ここは知らないふりをするのが賢明だろう)
何事もなく部活も後わり、帰り支度を始めるメンバー達をじっと見つめる男がひとり
真田(なぜ皆何も言ってこないのだ?サプライズはどうなっているのだ?)
マネ「あ、真田、少しいいかな?」
真田「(キタ――(゚∀゚)――!!)な、なんだ?マネージャー。
べ、別に、この後は何も予定など入っていないぞ?」
マネ「(なんかウザイ・・・)柳の誕生日プレゼントのカンパ、一人400円ね。
ストリングに決まったから」
真田「なに?そ、そうか・・・」
真田から1000円札を手渡され、それを封筒に入れるマネージャー
マネ「はい毎度。じゃあまた明日。おつかれ〜」
真田「ちょっと待てマネージャー!」
マネ「はぁ?気やすく呼び止めないでくれる?金さえ貰えばあんたなんかに用はないんですけど」
真田「まさか本当に帰ってしまうとは・・・。しかもおつりの600円貰っていないのだが・・・」
財布を手に呆然と立ち尽くす真田の元に丸井がやってきた
丸井「おつかれ真田」
真田「帰るのか?ならば俺も一緒に・・・」
丸井「ちゃんと金払ったかよ?じゃあ明日な〜」
真田「丸井・・・」
かばんを手にしたまま呆然と立ち尽くす真田の元に切原がやってきた
赤也「真田副部長、そこ邪魔なんすけど!」
真田「!あ、赤也、先輩を蹴り飛ばすとはなんたる…」
ケツを蹴られ呆然としている真田の元に仁王と柳生がやってきた
仁王「何こんな所で尻餅ついとるんじゃ?」
柳生「危ないですよ(顔が)」
真田「仁王、柳生、今日は何の日か知っているだろう?」
仁王「マネージャーのアノ日じゃろか?」
柳生「違いますよ、仁王くん。マネージャーさんの予定日は来週の火曜日ですよ」
仁王「さっすが、柳生。紳士とは名ばかりじゃのぅ」
柳生「いや、仁王くんには負けますよ」
真田「…………」
色んな妄想が止まらず、なぜか顔を真っ赤にしている真田の元にジャッカルがやってきた
ジャッカル「おい真田!?なんで乙女座りして鼻血なんか出してんだ?通報されるぞ!?」
真田「ジャッカル〜。仁王と柳生が俺のマネージャーを汚すのだ〜!!」
ジャッカル「泊ォにまとわりつくなよ!(一緒にいたら俺まで変態扱いだぜ)じ、じゃあなっ!!(捕まるなよ!)」
真田「あぁ〜ジャッカル〜ゥ」
とにかく色々と気持ち悪い真田の元に柳がやって来た
柳「一体何があった?」
真田「蓮二!何から話せばよいのだ!?とにかく蓮二のストリングがマネージャーを汚すのだー!!
一大事なのだーー!!」
静かに携帯を取り出す柳
柳「・・・弦一郎・・・今、救急車を呼んでおいた。脳の精密検査をしてこい」
真田「だめなのだー!放すのだー!病院は関係ないのだー!!マネージャーが危険なのだ〜!」
ほどなく救急車到着
柳「・・・警察よりはマシか・・・」
ひとり救急車に乗せられた真田を見送り、柳も岐路についた
真田の誕生日は皆に忘れ去られ、本人さえもそれどころではなく、すでに忘れていた・・・
こうして5月21日は過ぎていったのだった・・・。
Fin.