真田、し隊








みんなで純真無垢な真田を 騙して いじって 遊んじゃおう! 【真田、騙し隊】参上!





うどん
猿の手
脳年齢測定(軽く15禁)
呪いの人形































『うどん』



「おまえ達、何を話し込んでいる?」

「なぁんだ真田か〜」

「狽ネんだとはなんだ!?」


部活の後片付けも終わり、柳と討論している所に真田がうれしそうに入ってきた。


「マネージャーの言うことだ。聞き逃してやってくれ」


柳はマネージャーに甘い。と言うか、真田に関心がない。


「うどんの話してたの。柳は透明の出汁のがいいってゆーんだけど、やっぱうどんはミソ煮込みだよね?」

「うーむ。俺は断然さぬきだな」

「あっそ」

「そんな事より弦一郎」

(狽サんな事よりって…!)


実際真田の好みなどに興味はない二人。


「正しいうどんの食い方を知っているか?」

「まず箸を綺麗に割り…」

「フ…。わかってないな」

「うどんの風上にもおけないね」


日本語間違ってるマネージャー。


「今、若者の間では鼻からすするのが常識なんだぞ。それ位覚えておけ」


真面目な顔でしらっと言うからなんか本当っぽく聞こえるが、もちろん嘘だ。


「なっ…!しっ知ってたぞ!常識ではないかっ!」


おもっくそ知ったかの真田。


「さすが真田!ファッションリーダー!」


日本語間違ってるマネージャー。










「ところでここに、うどんがある」


いつのまにかおいしそうなざるうどんが目の前に並べられている。


「あー。あたし、正しい食べ方出来ないんだ!真田、ちょっと見本みせてよ」

「狽ネんと!今ここでか!?」

「ここでなけりゃどこでやんのよ」

「うむ…。仕方あるまい…」

「いいか、弦一郎。手で一本つまんで、先を鼻のなかに入れ思いっきりすするんだぞ」

「うっ!…知っておるわ!正しいうどんの食い方ができないほど落ちぶれてはおらん!」

(うわー。本気でやるんだ)

「よ、よし。では行くぞ」


ズズズ…ズッ…ゴバァッ!ゲフエフ…ゴフェア!!


「ププ…くっ…!!」

「笑うな、マネージャー。耐えろ」

「だって…!!」

「グブォッフォ!グス…」

「見ろ…ぜ、ぜん…ぶ鼻から…食ったぞ…」

「真田…(T∇T)」

「男だな。弦一郎」


ただでさえ、水分のないざるうどん。


男のメンツにかけて無理矢理一本すすりきった真田の顔は、涙でぐしゃぐしゃ。


おまけにむせこんだせいで、鼻からうどんの先がぴよっと出ているからマネージャーは笑いを我慢できない。




「ぷっ!ごめっ…!限界っ…!プフ…!」


臨界点を越えたマネージャーはその場から逃げ出した。


柳も真田を残してマネージャーの後を追う。





残された真田の前にブン太がやってきた。


「真田、また一人でバカやってんのか?いーかげんにしないと幸村にチクるぞ」




真田、騙し隊。






Fin.
































『猿の手』



「おまえ達、何を話し込んでいる?」

「なぁんだ真田か〜」

「Σなんだとはなんだ!?」


部活の後片付けも終わり、柳とマネージャーが話をしている所に真田がうれしそうに入ってきた。


「猿の手って知ってる?」

「猿の手…?」

「古来インドの行者が念を込めたとされる、3つの願いを叶えてくれる神聖な一品だ。
願いを叶えるごとにひとつ指がなくなり……ん?なんだ?知らなかったのか、弦一郎」

「しっ!知っておるわ!!常識だ!猿の手だな?」


明らかに知らなかった素振りの真田。


「あたしら1つづつ願いを叶えてもらって、あと一回分残ってるんだけど…」

「そっ、そのようだな…」

「効果は中々に良かったぞ」

「そ…そうか…」


なにやら羨まし気にそれを眺める真田。


「ところでマネージャーは何を願ったのだ?」

「えー?ここでなんて言えないよ〜。言えたとしても真田には一切教えないけどね☆」


何げに傷ついているガラスの少年、真田。


「まぁ、マネージャーは恥ずかしがり屋だからな。大目に見てやってくれ」

「もし真田だったら何願うの?」


自分の事は棚に上げちゃうマネージャー。


「うむ…そうだな…。ここはやはり──」

「あっそ」

(狽ワだ何も言っていないぞ!?)

「別に弦一郎が何を願おうが我々には興味がないがな」

(狽ネらなぜ聞いた!?)


やはり真田には興味がない二人。


「弦一郎、これをやろう。願いが叶うといいな」



そう言うと柳は真田に「猿の手」を渡し、マネージャーと共に行ってしまった。










一人残された真田。


「……行ってしまった…」


使い方がわからず、猿の手を色んな方向から眺めてみる。


「願いが叶う。と言う事は…やはりこれに願いを込めるのだろうな…」


(使い方はともかく、まず願い事を考えよう。ここはやはり、皆の為になる事を…)


「世界が平和に…」


(いや、待てよ?世界が平和になったからといって、誰が俺の密かな活躍に着目するのだ?)


ヒーロー願望があった真田。


(うーむ…。たった一回きりか。………自分の為に使っても誰も文句は言うまい)


結構自分勝手な真田。


「よし!言うぞ!叶えてくれよ。猿の手とやら!」


猿の手を握り締め高く掲げ、それに向かい決意の表情で願望を大声で口にする。


「じょっ、女子にモテモテになりた───い!!」


…肝っ玉の小さい男。真田。





そこへ一部始終を見ていた丸井がやってきた。


「真田、イワシの丸干しに向かって何恥ずかしい事叫んでんだ?テニス部の品位を落とすような事するなよな。 幸村にチクるぞ」





真田の手から猿の手…ではなく、干乾しのイワシが落ちた。





真田、騙し隊。






Fin.
































『脳年齢測定(軽く15禁)』



「む?何をしている?」

「うわ。真田に見つかったよ・・・」

「また弦一郎か」


いつものようにマネージャーと柳、特別ゲストの赤也を加えた三人で盛り上がっていると、 やはり真田が嬉しそうに近づいてきた。


「赤也、それは何だ?」

「いや・・・これは・・・」

「ゲームか。没収だ」

「まぁ待て弦一郎。これはなかなか興味深い」

「しかしゲームを持ち込むとはたるんどる!さあ渡せ。赤也」

「うわ真田ウザ。たるんでるかどうかはやってみてから言えば?」

「む・・・。マネージャーまで・・・。まぁいい。やってやろう。どうすればいいのだ?」

「副ブチョーには操作が難しいだろうから、俺が操作するっス」


没収を逃れ、何気に毒を吐く赤也。


「弦一郎は赤也の出す問いに対して答えていくだけでいい。バカでも出来る。簡単だ」


やはり毒は忘れない男。柳蓮二。


「ちゃんと答えてよね。副部長の威厳とやらを拝見させてもらうわ」


ゲームに威厳は一切関係ない。




という事で【脳年齢測定テスト】をやる羽目になった真田。


「準備はいいっすか?いきますよ」

「うむ。いつでも来い」









問1 サドとは?

「鉄拳は食らわすが、俺はどちらかというとMだ!」

答 砂土。10パーセント程度の粘土を含み、ほとんど砂からできている土壌。


問2 ドレイとは?

「ど・・・!?まぁ、ここだけの話、多少の興味はある・・・」

答 土製の鈴。郷土玩具に多い。


問3 カンノウとは?

「そんな小説はたまにしか読まないぞ!!本当だぞ!」

答 肝臓と脳髄。肉体と精神。


問4 ムセイとは?

「やってしまった後は自分で洗濯している。マナーだ」

答 無性。下等動物などで雄雌の区別がない事。


問5 オカズとは?

「たまにマネージャー・・・」

答 主食ではない副菜の事。


問6 エーブイとは?

「最近の女子は可愛いな。選ぶのにも苦労する」

答 オーディオビジュアルの略。


問7 アサダチとは?

「若いからな!毎朝だ!」

答 朝早く旅立つ事。


問8 オナ中とは?

「親の行動は常に把握している。やはり邪魔されたくないからな」

答 同じ中学校の事。


問9 フデオロシとは?

「卒業までにはマネージャーと・・・!」

答 新しい筆をはじめて使うこと。


問10 エスエムとは?

「まだやった事はないが・・・。痛いのだろうか・・・?」

答 スーパームカつくの略。











――測定結果――





【アホ】





「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「新しい副部長、決めよっか」

「そうだな。弦一郎には任せられん」

「じゃぁ俺、立候補するっす!」






思春期真っ只中の真田・・・・・・・。

真田、騙し隊。






Fin.
































『呪いの人形』



今日も柳とマネージャーが話し込んでいると、嬉しそうに真田が近づいてきた。



「何やら楽しげではないか」

「あぁ・・・真田かぁ」

「またもや弦一郎か」



いつもとんでもない目に遭っているというのに懲りない真田は仲間に入れて欲しくてしょうがない。



「先ほどからくしゃみがひどくてな。俺の噂でもしていたのか?」

「はー?する訳ないじゃん」

「うむ。好んで弦一郎の話はしない。むしろ遠ざけている方だな」

「あはは!言うねぇ、柳」

「言わねばならん事は言うさ」



相変わらず真田への風当たりは厳しい。

しかしそれに気付かない幸せ者の真田。



「いや、確かにくしゃみが出たのだ。だれぞが噂してるなと思い、辺りを見回していたら蓮二とマネージャーがいたのだ」

「あー、くしゃみね。あれじゃない?はやりの花粉症」

「もしくはSARSコロナウイルスか。ならば飛沫感染だからな。それ以上近寄らないでくれ」

「・・・そうか。ならばここで話を聞こう」

「え?まだいるつもり?って言うか話を聞くってなに?」

「俺の噂話を、だ」

「・・・してないけど・・・。柳、どうする?あの話、する?」

「・・・うむ。では弦一郎、噂話でなくて悪いのだが、折り入って相談がある」

「蓮二が相談とは珍しいな。わかった。なんでも言ってみろ」



騙される為に生まれてきたと言っても過言ではない男、真田。

なんの躊躇も迷いもなくキラキラした目で二人を見つめる。

騙す為に生まれてきたと言っても過言ではない柳とマネージャー。

なんの躊躇も迷いもなくキラキラした目で真田を騙しにかかる。



「・・・実は」



言い難そうに柳が言葉を搾り出す。



「幸村の事なんだが・・・」

「精市がどうしたというのだ?」

「ほら、幸村、手術したじゃない?」

「したな。しかし手術は成功したではないか」

「いや、幸村には口止めされていたんだが・・・」

「なんだ?なんだというのだ?」

「これ」



と言ってマネージャーが真田に差し出したのは30センチ程の大きなアヒルのぬいぐるみ。



「・・・これがどうしたのだ?」

「実は幸村の手術は成功したと皆には言ってあるが、完璧ではないのだ」

「蓮二、よくわからんぞ」

「だーかーら。これが幸村なの!」



アヒルのぬいぐるみを指差しマネージャーが付け加える。



「これが精市?更にわからんのだが・・・」

「幸村の手術には副作用があった。と言えばわかるか?」

「と言うと・・・これは正真正銘の精市なのか?」

「うん。今日、幸村、部活出てきてないでしょ?こんな姿だから・・・。でもね。ちゃんと元に戻るんだよ!人肌で温めていれば人間の姿に戻れるんだよ」

「タマゴでもないのに人肌か。精市の奴め、なかなか・・・。よしわかった!立海大テニス部、副部長の名に於いて真田弦一郎が命に代えても精市を元の姿に戻してやるぞ!」

「じゃ、真田よろしくね。あたし女の子だから、そんな姿でも幸村と生活するのってはずかしいし」

「俺もアレルギーでその姿の幸村には触れる事ができんのだ。頼むぞ、弦一郎」

「任せておけ!」



そして二人は真田に幸村(?)を押し付けてクラブハウスへと戻っていった。



「精市、俺の体温で元の姿に戻ってくれ!そしてもう一度ラケットを握り、共に全国へ行こうではないか!」



幸村(?)を大事そうに抱えて涙ぐむ真田のそばを丸井が横切る。



「さーなだ。まだ帰んねーのかよ。ん?また妙な事してんのか?」

「ま、丸井!?これはな・・・ん?どうした精市・・・しかし・・・うむ、そうか、許せ丸井。言えん!言えんのだー!」



幸村(?)を小脇に抱き抱え走り去る真田を見送りながら、またアホな事してやがるとつぶやく丸井。

そこへやって来たもうひとりの男。



「やあ丸井」

「ん?おう幸村、今帰りか?」

「うん。思った以上に委員会が長引いちゃってね。部活はどうだった?みんな真面目に練習してたかい?」

「あー、練習は真面目にやってたけど・・・」

「そう。ならいいよ。じゃ俺は先に帰るとするよ」



一人残った丸井。



「・・・はぁ・・・」



チクる気にもならなかった。



真田、騙し隊。










Fin.