魔法コトバ








「亮!お疲れさまっ!はい、タオルどうぞ」


「おう!サンキュ」


練習を終えてベンチへ向かう亮に、あたしはタオルと一緒に両手の上にのる位の包みを手渡す。



「なんだ?これ…」



「ふふ。あけてみて?」



不思議そうな顔でゆっくりと包みをほどいていく。



「おっ!?チーズサンド。うまそーじゃん!」


「あたしが作ったんだよ」


の手作りか。食っても大丈夫なのか?」

「そんな事言うなら返して?」


「冗談だよ」


何度も練習してようやく恥ずかしくない出来になったチーズサンド。


「亮、誕生日おめでと!」


「…あ…!」


「やっぱり忘れてた…。自分の誕生日くらい覚えててよね」


「別にいーんだよ。3月10日を覚えてればよ」


「あ…あたしの…。亮大好き!!」






テニス部では恒例となったあたしと亮のやりとり。


今ではファンの女の子達からも何も言われなくなった。


「あー幸せ」



抑えきれない気持ちが口をついて言葉になる。



幸せを噛み締めているあたしの横で、亮はチーズサンドを残さず食べてくれた。



「なかなか旨かったぜ」


「よかったぁ。」




安心したあたしは空を見上げる。



「跡部くんに感謝しないとね」


「あぁ?ったく、は変な所で律儀だな」


あたしの頭をポンポンしながら笑う。










キューピットは生徒会長兼、テニス部部長の跡部景吾くん。


あたしとの接点は生徒会。


「どーせ暇だからな」と言ってあたしと亮の仲を取り持ってくれた。





「感謝だよ。本当」


「ふーん…?」


「妬いてる?」


「んな事で妬くかよっ!……って、わりぃ。本当はめちゃくちゃ妬いてる」


頭をボリボリ掻きながら面白くなさそうに言う。


「へへっ…」







ヤキモチやいてる亮も。

照れている亮も。

ちょっと困ってる亮も。

笑ってる亮も、真剣な亮も大好き。

でも、テニスしてる亮はもっと好き。




好きがどんどん溢れてきて、止まらないよ。亮。










部員のほとんどが帰っちゃったみたいで、人がまだらになったテニスコート。











「なーに?」



「来年も作ってくれよな。ちょっとしょっぱいチーズサンド」



「しょっぱいは余計だよ!もう!」





苦笑いの亮があたしの肩を抱いて軽く引き寄せる。





「…好きだぜ」





誰にも見られないように素早く耳にキスしながら。




あたしにしか聞こえない小さな声で。




魔法のコトバをくれる。




うん。あたしも大好き!!


ずっとずっと一緒にいようね!


お誕生日おめでとう!








こんにちは。佐波屋です。

誕生日企画、第2弾宍戸亮編です。

甘夢目指したつもりなんですが、なんだこりゃ?誰じゃお前!?うわーん!!てのができてしまいました。
手直ししたい箇所はいくつかあるんですが、なんかもういっぱいいっぱいです。
いい気になって企画とかやるからだ。とバカにしてやって下さい。










Fin.