眼鏡ゆる秋








「マネージャーさん。好きです。お付き合いして下さい」















「断る」






「(-∀-;)ちょちょ、ちょっと仁王くん? なんでリハーサルで返事するんです?
それに…「断る」って……!」


「まーまー。そう凹みなさんな。振られた時の練習も必要かと思ってな」


「狽ワだあたってもいないのに砕ける練習は必要ありません!!」


部室で向かい合う形で椅子に座り謎のリハーサルをしている男二人。


「しっかし、今更ぬけがけ告白なんてのぅ。今まで通りみんなのマネージャーじゃいかんのか?」


「フッ…」 キラリーン++



眼鏡キャラ必須スキル「眼鏡キラーン」を存分に披露すると
柳生は興奮の色を隠さずに自信満々に言い放った。




「よくぞ聞いてくれましたね。仁王君っ!」


「いや…わざわざ立ち上がらなくともいいぜよ…」


誇らしげに眼鏡をクイッとあげる。もちろんもう一方の手は腰にあてている。


「マネージャーさんの最近のマイブーム…知ってますか?」


「いや、知らんけど…って、なんで徐々に近づいてくるんだ…?」


「ズバリ!優等生眼鏡なんですよ!!」


「いや、だから近いって…」


柳生は仁王の約10センチ手前で両手を腰にあて熱弁している。


「優等生眼鏡君です!この部には私しかいないでしょう?ね?ね?におーくんっ!」



その時

──バッターン!


「よう!ウスラトンカチ共、元気かーい?」


勢い良く飛び込んできたのは噂のマネージャーだった。









柳生は振り返り、仁王は柳生の影からひょっこり顔を出す形で入ってきた人物を確認する。


「(ドッキーン)マネージャーさん…!」


「お?マネージャー。いつもより早いのう」


「!?あ…、あんあん、あん…」


「いやですよマネージャーさん、えっちな声出さないで下さいよ」


あほか!この年中発情眼鏡が!」


「では喘ぎ声ではないと…?」


当たり前だ! ただ、あんたたち、びーえる中だったの?って聞きたかっただけだよ!」


マネージャーの指差す先には柳生の股間に顔を埋める形で座っている仁王。




「這( ̄ロ ̄lll)おい!誤解じゃ…っ!」


「そっそうです!これには深い訳が…えっと…今は言えませんが…」


必死に言い訳する二人。





それを冷静に見ていたマネージャーはポンと手を打ち、
何を思ったか一人掛けの椅子に二人を無理矢理座らせる。


(…めちゃめちゃ近いんですけど…)
(…めちゃめちゃ狭いんですけど…)


マネージャーには迷惑そうな顔をしている二人はもはやの眼中にはなく
、少し離れた所からぎゅうぎゅう詰めの二人を見て満足そうにしている。


「大丈夫!安心して。あたし
口固いから (゚ー^)b」


ビシッと親指を立てるマネージャー。


「「
矧ィ違いですからー! 」」











マネージャーは窮屈(迷惑)そうに椅子に座る二人をいろんな方向から見ながらしみじみは言った。


「いやー。はじめて見たわ。びーえる?あ、世間じゃぼーいずらぶってゆーの?
実はあんたら二人、常々怪しいと思ってたのよねぇ」


「いや、だからこれはですね…」


「柳生、もうマネージャーには何も通じんだろ。それより、マネージャー。その眼鏡はどうしたんじゃ?」


見ればマネージャーは眼鏡をかけている。


「ぅんもう。仁王のいじわる。聞くの遅いぞ★ これはね。マイブームです」


くいっと眼鏡をあげる。


「マイブームって…柳生が言ってた…」


「どーお?知的に見えるでしょ?」





(なるほど。…完全に柳生の勘違いじゃの…)


仁王は窮屈そうに横に座らされている柳生の顔を覗き込んだ。




「(T□T)マネージャーさん…」



柳生、男泣き…。


「うふふ。まぁあんた達の事は秘密にしといてあげるね!あ、柳にはうっかり喋っちゃうかも〜」


嬉しそうにくるくる回りながらちゃっかり写メまで撮っているマネージャー。


「柳生、告白はあきらめた方がいいぜよ。マネージャーは強敵すぎて俺等の手には負えんぞ…」


さりげない仁王のフォローさえもマネージャーにかかれば「BL」で片付けられてしまう。






おそるべし立海マネ。






Fin.