い恋








俺と
中学に入ってから
ずっと同じクラスで
委員会も一緒で
話も趣味も合って
これ以上ない位
信頼し合い
そして
お互いが必要だった
……










今日も
いつものように
校門で
俺の部活が終わるのを
待ってくれていた

「おまたへ〜!待った?」

「ううん、大丈夫 さっきまで友達としゃべってたし」

「んじゃ帰ろっか♪」

「うん」


いつもと変わらない風景
だと思った
の態度が
よそよそしいと気付くまでは……




「どったの?なーんか元気ないじゃん?」

「そんな事ないよ …ね?エージ、私の事好き?」

「もっちろん大好き!」

「うん、私も」

「ずっと一緒にいようにゃ〜♪」

「……うん」


なんだか
嫌な予感がした
だから逆に
いつも通りに
振る舞ったんだ……



〜、明日の日曜日どうする?」

「あ、明日は家の手伝いがあって…ごめんね」

「そっかぁ…残念無念また来週〜!ってね」

「ふふ あ、送ってくれてありがとう」

「うんにゃ、じゃまた月曜にね〜!」




−−日曜日−−


 …〜♪〜〜♪〜♪♪〜

「…ん…?誰だよ〜こんな朝っぱらからぁ〜…メールか…から…?」


『エージ
 ポストの中、見てね
     


「なんだこりゃ?」


目をこすりながら下へ降りる


「ポスト〜?なんだろ?」

「あら英二、おはよう 今日は練習の日だったかしら?」

「ううんー、違うー」


玄関開けてポストを見る
手紙?の様なものが入っている

宛名は 『エージへ』
裏には 『
とだけ書いてある

妙な胸騒ぎがした






『エージへ

実は、父親の転勤で今日、引っ越すの。
今まで黙ってて、ごめんなさい。
ただ、エージにはやっぱり言えなかった。
顔を見て、「さよなら」って言うと、二人の関係まで終わっちゃいそうで…。
大会、頑張ってね!
エージの活躍を期待しています。
最後に…エージ、大好きだよ。あなたと一緒に過ごした時間が、世界で一番素敵な私の宝物です。

      



「っ!なんだよ!これ?」


俺は急いで周りを見渡す
の姿は
どこにもなかった


部屋に戻って携帯を取り出す
の番号を押す

「ただいま電波の届かない…」

「んっだよ!!」


なんで?
どうして何にも言ってくれないのさ!?
にとって、俺ってそんなちっぽけな存在だった訳?


パジャマ姿のまま
携帯と手紙を握り締めて
の家へと走った






の家が見えた


車に乗り込むの姿も見えた



「……っ!」

俺は走りながら叫ぶ

車は発車していた

後部座席のが振り返る

!!」

車は走り続ける

との距離が広がる



!俺、もっといい男になって、もっともっと男らしくなって、もっともっともっとたくましくなって、もっともっともっともっと……」



を乗せた車は見えなくなっていた



「…もっと大人になったら…絶対っ迎えに行くから!!!」





幼い恋だったとは思わない



俺は
 俺に
  言い聞かせた






Fin.