新春親睦会








元旦。



俺大石と手塚、幸村、真田は跡部に招待されて、バカでかい宮殿のような屋敷の前にいた。




手塚「ここか」

幸村「噂に違わず…だね」

大石「しかし、いいのかなぁ。こんな大人数で押し掛けて…」

真田「かまわんだろう。招待したのはあいつの方だからな」

手塚「よし。では油断せずにチャイムを押そう」




ビーンボーン ヨヨーン…‥





真田「貧乏と聞こえたのは気のせいか?」

手塚「気にしすぎだ。油断したからそう聞こえたんだろう」

幸村「クス。変な音だな。趣味が悪い」

大石(この人、言っちゃいけない事を言っちゃったよ?)




『…誰だ?』




程なく、カメラ付きのインターホンから跡部の声がした。



大石「あ、大石です。本日はお招きにあずかり…」

幸村「カメラは無意味なようだ」

大石(狽ワたこの人は!余計な一言を───!!)

跡部『ああ、入れ』



でかい門が自動で開き、俺たちは玄関までの長い通りを進んでいった。





「ようこそ。いらっしゃいませ」



メイドさん達に迎え入れられる。





手塚「油断せずに入ろう」

大石「お邪魔します」

幸村「むかつく位、でかい屋敷だね。ガムでもつけとこうか?」

大石「…やめてくれよ…」

真田「むっ!?何事だ?」


見れば真田くんが黒服の男達に両腕を捕まれている。

男達は胸につけた小さいトランシーバーみたいな物に向かってこう言った。



SP「おぼっちゃまのご学友に混ざり、屋敷へ侵入しようとした不審者を捕えました」

跡部『よくやった。1ポイントマグナムだ。楽しみにしとけ』

SP「はっ!」

大石(1ポイントマグナムってなんだろう?)

幸村「…真田、連れていかれちゃったね。まぁ、あの風貌じゃしょうがないか」

手塚「油断するからだ」

幸村「手塚がセーフだったのは驚きだよ」

手塚「油断せずに入ったからだろう」

大石「ちょっと!いいのかい?真田くん、放っておいて…」

幸村「どのみち不審者だから、いいんじゃない?」

手塚「うむ。油断せずに放っておこう」

大石「…………」










ある扉の前まで案内された俺達(1人減)はメイドさんに従い、部屋の中へ通された。


「お連れしました」


跡部「あぁ。お前達、中へ入れよ」

大石「跡部、明けましておめでとう。今日は俺達…」

跡部「堅苦しいあいさつは抜きだ」

幸村「今日は何の召集だい?」

手塚「油断せずに聞こう」

跡部「まぁ軽い親睦会みたいなもんだと思ってくれ。ゆっくりしてけよ」

大石「ゆっくりって言ったって、こう広くちゃ落ち着けないよ」

幸村「じゃあ、俺はお言葉に甘えさせてもらうよ」

大石(柏lん家でソファにゴロゴロ!?)

跡部「フッ…。やるな。幸村」

大石(狽りなのっ!?)

手塚「油断せずに落ち着こう」

大石(狽ヌっちだよ!)



みんな、思い思いのくつろぎ方をしているので、俺も空いている椅子に腰をおろした。



跡部「かるたでもするか?」

幸村「フフ…。それは楽しそうだね」

大石「それはいい!ぜひやろう!」

手塚「油断せずに参加しよう」

跡部「よし。樺地!かるたの準備だ」

樺地「ウス」




呼ばれて出てきた樺地くんが、かるたセットを手際よく並べていく。



跡部「遊びとはいえ、俺様は誰にも負けるつもりはねぇ」

幸村「望むところだよ」

大石(よかった。どうやら普通の親睦会みたいだ)

樺地「では…いきます…」

手塚「油断せずに取ろう」












樺地「…犬も歩けば…棒にあとべ」

跡部「はいっ!」

幸村「くっ…!!」

手塚「油断したか…」

大石(狽ヲ───?今のおかしかったでしょー!)

樺地「笑う門には…福あとべ」

跡部「はいっ!」

幸村「またやられた…」

大石(ぜったいおかしいって───!!)

樺地「旅は道連れ…世はあとべ」

跡部「はいっ!」

手塚「しまった……」

大石(なんでみんな平然としてるのー!?おかしいでしょ?明らかにっ!!)

跡部「フッ。俺様のインサイトにかかれば、こんなもん屁でもねーよ」

幸村「やるね」

手塚「やるな」

大石(柏Hい付くとこ、そこ!?)

樺地「塵も積もれば…山あとべ」

幸村「はいっ!」

跡部「なにっ!?」

手塚「無我の境地…か。幸村」

大石(買Cンサイトを無我でコピー!?)

樺地「頭隠して…尻あとべ」

手塚「はいっ!」

幸村「手塚は百戦自得の極み…だね?」

大石(剥カ手光ってる――――!!)

跡部「ハッ。面白くなってきたぜ!勝負はこれからだぜ!次だ、樺地!」

樺地「花よりあとべ」



………



……


















幸村「今日はなかなか楽しかったね」

大石「そうだね…」

手塚「油断せずに楽しめたな」

大石(楽しめてないよ、それ…)




跡部の家からの帰り道、俺は胃が痛いのを我慢していた。



大石「そういえば真田くんはどうなったんだろう?」

幸村「さぁ?明日になれば帰ってくるんじゃない?」

手塚「それより俺達は油断せずに帰ろう」

大石(…そう言えば、一枚も取れなかったな。かるた…)




真田、出番なし。






Fin



明けましておめでとーございます!
2007.1.1  佐波屋